第4回かながわ福祉サービス大賞 報告
今年度も、介護の日のプレイベントとして「第4回かながわ福祉サービス大賞」を開催いたしました。今回は、前半に過去最多32事例から選出された6つの先進事例の発表を行いました。座長には県立保健福祉大学名誉教授の山崎泰彦先生をお招きし、「福祉の未来を拓く」をテーマとして各発表事例についてコメントをいただきました。
また、後半は、神奈川県平塚出身の手話を使ったダンスユニット『HAND SIGN(ハンド サイン)』さんによる歌とダンスのライブパフォーマンスを行いました。手話を使った歌を参加者総立ちで一緒に踊り、大変な盛り上がりでした。福祉・介護関係の施設や事業所にお勤めの方や一般の方、出展企業の方など170名の方にご参加いただき、無事開催できましたことに感謝いたします。
【日時】平成27年11月9日(月)14:00 ~17:10
【場所】神奈川県民ホール(小ホール) 【参加者】約170名 【協賛企業】14社
◆開会式
主催者あいさつ : 公益社団法人かながわ福祉サービス振興会 副理事長 深谷 昌弘
来賓あいさつ : 神奈川県保健福祉局福祉部長 小島 誉寿 氏
前年度大賞受賞者コメント (有限会社ふれんどりぃ 筒井すみ子氏)
介護事業をはじめて10年の節目に「かながわ福祉サービス大賞」をもらえました。この感動をどう仕事に活かすのかを考えました。その結果、この感動を職員や多くの人に伝えることが役目と思うようになりました。生きがいを持って仕事を出来るようにすることが自分の新たな仕事と思うようにもなりました。介護現場はけっして悪い職場ではない、そこで、新たな3Kのキーワードを考えました。
それは、「感謝・感動・体が丈夫」。
「利用者のADLが落ちても歌が歌えた!仕事を通じて成長させてもらえる!3キロ痩せて健康になった!」介護現場は素晴らしい職場です。そういったことを今後も現場で見続けて伝えられる人になりたい。そういったことを考えるきっかけになったのが、このサービス大賞の受賞でした。今日の発表からもたくさんの感動をもらえると思って期待しています。
◆福祉の未来を拓く先進事例発表 座長:神奈川県立保健福祉大学 名誉教授 山崎 泰彦 氏
▼第4回かながわ福祉サービス大賞~福祉の未来を拓く先進事例発表会~抄録冊子全文
下記のリンクから、抄録冊子全文をダウンロードできます。
抄録冊子全文(PDF: 9.11MB)
≪事例発表:口頭≫
所属 | 演題名 | |
1 | 株式会社アイム アインシュタイン放課後・宮前平 |
自閉症児童のための新しいソーシャル・ルーム ~全ての個性が胸を張って成長できる環境を~ |
2 | 特定非営利活動法人 日本就労支援センター ナチュラルサポート海老名 |
ラインがつくるチームワーク ~調和と相互理解の絆へ~ |
3 | 社会福祉法人県西福祉会 足柄療護園 |
医療ケアが必要な障害者の生活の質を高める短期入所利用 |
4 | 特定非営利活動法人 介護の会まつなみ デイサービスまつなみ |
外出支援からの効果 |
5 | 社会福祉法人 愛翁会 小規模多機能ホーム ななかまど |
~小規模多機能は在宅への架け橋となり得るか~ |
6 | 株式会社リフシア サービス統轄部 |
IT活用で自立支援のケアマネジメント |
≪事例発表:書面≫
1 | 社会福祉法人 かながわ共同会 厚木精華苑園 |
「こんな日がくるとは思わなかった・・・」 ~障害者にとっての自信のたね~ |
2 | 特定非営利活動法人 シルバーリボンジャパン 就労継続支援B型事業所 ゆめが丘DC |
精神疾患(障がい)に対する社会的関心を高める 目的の先進的な啓発アプローチ |
3 | 株式会社 LITALICO ウイングル相模大野センター |
OJT型就労移行プログラム |
4 | 株式会社 LITALICO 総合幼児教室 Leafジュニア二俣川教室総合発達コース |
将来への見通しをつけるための連携支援 |
5 | 株式会社 さくらの丘 さくらの丘 |
介護で健康のバロメーターである便の形状が変わった! |
6 | 社会福祉法人 宗得会 グループホームつばき |
未来へのエビデンス |
7 | 株式会社 アルプスの杜 アルプスの杜「綾瀬」 |
介護付有料老人ホームにおける理学療法士による リハビリテーションの介入 ”しているADL”と”できるADL”の差を解消する 情報共有ツールの作成と運用方法 |
8 | 特定非営利活動法人 えがお |
垣根のない福祉支援を目指して |
9 | 大信産業 株式会社 小規模多機能みのり大岡 |
私の最後を看取ってください |
10 | 株式会社 望耀 のぞみデイ | 介護保険卒業デイサービス!! 脳梗塞、脳出血の後遺症からのリハビリ |
11 | 社会福祉法人 富士白苑 富士白苑 大磯コーポ |
地域に開かれた施設として 地域社会との連携、地域貢献への取り組み滑動について |
12 | 社会福祉法人 愛成会 特別養護老人ホーム 愛成苑 |
よりよい職員に育てます! 能力開花 4つの研修 |
13 | 株式会社 ケアシステムネットワーク 地域リハビリデイのぞみ |
通所介護施設でのメタボリックシンドロームに対する 取り組み |
14 | 株式会社 シニアパワー研究所 マナーハウス南横浜Ⅰ・Ⅱ |
「4年で70回」夜間想定避難訓練を振り返る |
15 | 株式会社 マエカワケアサービス 本部 |
利用者様の生きがいへの取り組み「みんなの学校」 |
16 | 特定非営利活動法人 楽 小規模多機能型居宅介護 ひつじ雲 |
地域に根ざし、地域で暮らし続けることを願い地道に取り組んできた11年 |
17 | 有限会社 エフ・イー・エヌ・トレーディング エクスプレスグラス |
ご高齢者の視界を良好に ご高齢者施設へのメガネ無料相談会 |
18 | 株式会社 生活科学運営 上布田つどいの家 |
あなたと働きたい!を表現する心構えと多様性の受け入れ |
19 | 有限会社 グループホームそよ風 みどりのそよかぜ |
BPSDを起こさない介護の提案 |
20 | 医療法人 祐徳会 介護付有料老人ホーム ハートウォーム港南台 |
入居者様、ご家族様のご希望に応えられるように 1分、1秒の大切さ |
21 | 株式会社 ニチイケアパレス ニチイホーム読売ランド前 |
よみがえれ!命の練習曲(エチュード) 音楽療法・不安神経症の症状を緩和し生きがいを模索する |
22 | 社会福祉法人 みずほ 特別養護老人ホーム 生田まほろば |
認知症高齢者の転倒予防について |
23 | 日総ニフティ 株式会社 コミュニティハウス すいとぴー新横浜 |
豊かな暮らしを支えるチームケア |
24 | 社会福祉法人 横浜市福祉サービス協会 横浜市福祉サービス協会緑介護事務所 |
「地域包括ケアシステム」って○○なんだ |
25 | 特定非営利活動法人 日本総合リハビリスト協会 リハビリストホーム瀬谷 |
自立支援の本質を捉えた包括的サービスとは 排泄に関わる悩みや不安を通所介護施設で解消した実例 |
26 | 株式会社 さくらの丘 さくらの丘 |
何気ないコミュニケーションから改善点が見つかり! QOLの向上に繋がった事例 |
【口頭発表1】(株式会社アイム 佐藤 典雅 様)
【口頭発表2】(社会福祉法人 かながわ共同会 渡部 美憲 様)
【口頭発表3】(特定非営利活動法人 日本就労支援センター 増田 加寿美 様)
【口頭発表4】(特定非営利活動法人 介護の会まつなみ 布施 有紀 様)
【口頭発表5】(社会福祉法人 愛翁会 板澤 圭一 様)
【口頭発表6】(株式会社リフシア 小室 一則 様)
【公演】(HAND SIGN(ハンドサイン)様)
◆表彰式 公益社団法人かながわ福祉サービス振興会 理事長 瀬戸恒彦
【大賞】(社会福祉法人 愛翁会/ 小規模多機能ホーム ななかまど様)
・入院から戻ってきた利用者を小規模多機能がいかに在宅での生活に戻せるか?に挑戦しました。
→職員は医療機関と連携し住み慣れた自宅で家族と一緒に暮らし続けるための「在宅への橋渡し」をしたい。
【具体的な取り組み】
①家族と意志と当施設での話し合い「ロングステイ」を実施しライフサポートプランを医師に持参、説明し退院に向けた協力を得た。
②センター方式を活用し、日中、夜間の状況をくまなくアセスメントした。
③自宅の階段を想定した歩行訓練を行い、1か月後に評価し、自宅復帰への確認を行った。
【取り組みの結果】
自宅に戻った後、1週間の「泊まり」を経て、自宅復帰を果たした。現在は週4回の「通い」を利用するまでに回復した。
⇒介護の必要になっても全てもことが出来なくなってしまうわけではないのですが、往々にして周囲の人たちが心配のあまり「させていない」事もあります。生きる力、人としての誇りや意欲を奪わない支援を家族や関係者とがすることで、本人の意欲の向上だけでなく、職員の意識の向上にもつながることを実感しました。
【優秀賞】(特定非営利活動法人 介護の会まつなみ/ デイサービスまつなみ様)
・利用者の「デイサービスで友達になれた人たちと食事に行きたい」と言う声に応える!ということになりました。
→「外出支援サービス」を行ってみよう!まずは、隣の市の公園にお花見、そして県外への宿泊にも行こう!
・利用者が「~がしたい、~をやってみたい」という気持ちを受けとめ、出来る限りやる気に応えるためには
→本人にも計画段階から参加してもらい、一緒に日程を考えることで、普段より機能訓練への取り組みが意欲的になります。具体的な目標が出来るとそこに向かって脳が活性化し「もっと~したい!」という考えが出てくるものです。
→年齢に関係なく、目的を持って行動するには、目標を立てて、課題を一つ一つクリアしながら、目標に向かっていくようになります。
⇒外出支援をすることで利用者自身が行動的になり、職員も問題意識の向上につながり、今まで以上に利用者を深く理解しようと努力する姿勢へと変わっていきました。
利用者のその人らしさが十分に配慮された目標とは何か?を追求し、イキイキと毎日を過ごしてもらえるよう、デイサービスでの外出支援だけでなくこれからも様々なあらたな取り組みをしていきたいと考えています。
【特別賞】(株式会社アイム/ アインシュタイン放課後・宮前平様)
息子のために自閉症デイサービスを作りました。自閉症の人の世界をどのように支援できるのかが重要です。重度対応は介護に近いものです。重度は既存の支援学校で賄えますが、課題は中度の子供たちへの対応です。専門家は「自閉症は治る」と言っていますが、親の立場から見ると治らないと思って対応しています。治らないものだからこそ、違う感覚の持ち主の世界観を変えることはできないので環境を変えることで対応するようにしています。そのための1つは、心地よい「空間」を提供すること。もう一つは、センスのある「人」にかかわってもらうこと。自閉症の子たちは、センスのある人や場所を自ら選ぶので、そういう仕掛けをすれば自然にその場所に寄ってくるものです。将来的には就労支援を行う希望があります。
今回の発表事例の成果を数値化することは難しいのですが、喜びの声をたくさんいただいているので、すこし読み上げます。支援学級で居場所が作れない子供たちもここ『アイム』が大事な居場所になっています。今後は自閉症の子供たちの未来を作っていきたい、そう考えています。
◆協賛企業様 : 株式会社ニチイケアパレス様、株式会社フジックスハートフル様、
ピップ&ウィズ株式会社様、理想科学工業株式会社 理想横浜支店様、株式会社旭クリエイト様、株式会社信興テクノミスト様、サンスター株式会社様、KDDI まとめてオフィス株式会社様、
株式会社イノベイションオブメディカルサービス様、株式会社日本コンピュータコンサルタント様、
株式会社ベストパートナー様、株式会社 LITALICO様、株式会社エコロ・ダイレクト様
各協賛企業様が、ブース出展や抄録掲載に彩りを加えてくださりました。誠にありがとうございます。