令和 4 年 3 月 公益社団法人かながわ福祉サービス振興会 - 119 -理事長 瀬戸 恒彦 22 人人生生をを楽楽ししむむ心心 33 おおかかげげささままのの心心 人生100歳時代、いつまでも健康で暮らすためには、栄養価の高い食事の摂取や運動の継続、仕事や地域活動などのバランスを取りながら、人生を楽しむ「心」が重要です。人生を楽しむうえで、家族の団らんや交流は欠かせません。我が国の世帯の現状を見ると、高齢者の一人暮らしや配偶者と二人暮らしが多いのですが、週末には、子供や孫たちと交流し団らんすると、楽しい時間を過ごすことができます。こうした空間や時間を作ることが、人生の楽しみを増やし健康で暮らす礎ともなります。 我が家に少しずつ手を入れて、人生のライフステージに合った住まいとして整えていくことも、人生に新たな楽しみを見つけることになります。また、自分の好きな家具を配置したり、照明やカーテン、インテリアなどの工夫をすることにより、快適な部屋に模様替えすることも出来ます。部屋の模様替えは、気分転換にも最適です。大事なことは、自分と家族にとって快適な住まいの環境を創ることです。庭のある方は、できるだけ好きな花や木を植え、庭の手入れなどで汗を流すことも健康の秘訣です。 健康になるための暮らし方のヒントは、生きる力を引き出す「社会参加」、健康な体と心を作る「運動」と「食事」。これら3つの要素を毎日の生活の中に取り込むことです。そして、楽しみながら継続することです。 昔の村のように、各世代がそれぞれのノウハウをお互いのために役立てながら、支え合って環境に優しい生活を送ることができれば、ともに生きる社会を実現できるのではないでしょうか。 高齢期を健康で豊かに暮らすためには、家族や友人関係を大切にし、物質的豊かさから精神的豊かさにシフトすることが必要です。稼ぐために人生を消費するのでなく、良い人生を過ごすために必要な働き方をすることや、地域社会におけるボランティア活動を通して多様な人的ネットワークを築くことが大切になります。こうした時間の使い方をすると、仲間が増え、目に見えない無形の財産が蓄積されます。この貴重な財産の蓄積が、健康になるための暮らし方の礎となり、これからの人生を豊かにしてくれるものと確認しています。 物質的に恵まれ何不自由しない生活を送っていても、心が貧しい状態では、幸せを感じることはできません。幸せの方程式があるのです。それは、幸福=充足/欲望 というものです。人間の欲望は限りがありません。一つの物を手に入れるともっと欲しくなります。「もっと、もっと」欲しくなるのです。この方程式は、人間の欲望が限りなく大きくなっていくと、いつまでたっても幸せになれないということを表しています。「吾唯足知」という言葉がありますが、幸せになるためには、欲を少なくして、満足するということを知ることが重要であるということです。 人は一人では生きていけません。自分が、今ここに在るのは、多くの人に支えられているからだということに気がつくこと。そして、相手があって自分があるということに気づくことが、「おかげさまの心」なのです。「おかげさまの心」を養うことによって心が豊かになり、支え合いの地域づくりにつながっていくのだと思います。
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