- 18 -図 1-3-2 によると、日本の高齢者が働き続けたいと考える理由として、男女ともに収入の確保を挙げる人が最も多い一方、仕事のやりがいや社会への参加意識、健康に役立つといった理由もおよそ4割以上に上っています。働きたいと希望する高齢者の労働参加を高めることは、本格的な人口減少社会における経済の活力維持のほか、地域の働き手や社会保障の支え手の確保にも貢献します。高齢者にとっても、就労やボランティアなどの社会活動が転倒リスクの低下や抑うつ傾向の軽減、認知機能の維持改善に効果があり、社会的役割や生活機能の維持にもつながるといった研究報告もあります 16。 歩行速度の向上など、近年、高齢者の体力は徐々に向上しているほか、日本人の高齢期における思考力や読解力は、OECD の平均値を上回るという調査結果が出ています 17。新しい知識の吸収や短期記憶能力の衰えは否めないものの、日常問題の解決能力や言語能力は、経験や知識の習得に伴い、むしろ向上するとの研究報告もあります 18。また、「何歳からが高齢者だと思うか」という問いに、「70 歳以上」と答える人が圧倒的に多いという意識調査の報告もあり 17、65歳以上の人たちを一律に高齢者として括ることは、もはや現状にそぐわなくなりました。こうした背景もあり、高齢者のイメージは年々変化しています。 前述のように、2040 年頃までは高齢者人口と要介護(要支援)者数の増大が続きますが、すべての高齢者が要介護状態になるわけではありません。図 1-3-3 によれば、過去、現在、そして将来予測においても、概ね8割強の人たちは「元気な高齢者」として生活し続けると見込ま 16 首相官邸「未来投資会議―『健康・医療・介護』会合(第 3 回)配布資料 平成 29 年 12 月 14 日」 17 内閣府「平成 30 年版高齢社会白書-第1章 高齢化の状況」 18 総務省「平成 25 年版情報通信白書-第 2 章 ICT の活用による社会的課題の解決―第 3 節超高齢社会におけ 図図 11--33--22 6600 歳歳以以上上のの就就労労意意向向者者がが就就労労のの継継続続をを希希望望すするる理理由由 ≪≪全全国国≫≫ 出典:内閣府「高齢社会対策に関する調査 高齢者の生活と意識-第9回国際比較調査(令和 2)」より作成 る ICT 活用の在り方」
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