1 2022 年度の診療報酬改定では、病院が福祉や介護、教育機関と連携し、ヤングケアラーへの支援につなげた相談相手にもなることで家族の精神的負担緩和にも一役買っています。 介護保険制度の功績の一つに、介護を社会に広く一般化させたことが挙げられます。介護保険制度が施行される以前、介護は、家族だけで抱えるにはあまりにも重い負担でありながら、それを他人はおろか隣人にさえも明かそうとせず、「家の奥で起きていること」として表沙汰にしない風潮が一般的でした。しかも、当時の社会では、親の面倒を看ることは「娘の責任」や「嫁の努め」といった考えが強かったため、その重責の担い手の多くが女性でした。しかし、「介護」という言葉が広く一般化するにつれ、現在では介護サービスの利用を肯定的に捉え、介護者の健康や生活をも尊重することが当然の世の中に変わっていることは、皆さんもご存じの通りです。 近年は、「介護離職」や「ヤングケアラー」といった言葉を頻繁に見聞きしますが、近年までの社会変化とともに、家族の発揮する介護力は弱まりつつあると考えられます。しかし、これらの新しい社会課題が意味するところは、すでに社会に認知されつつあり、その対策 1や支援の必要性が叫ばれています。見方を変えれば、こうした新しい社会課題の存在を受け止め、理解し、問題解決を図ろうとする意識が醸成されてきたことも、介護保険制度の功績であると考えられます。 図図 22--11--44 神神奈奈川川県県ににおおけけるる介介護護給給付付費費のの推推移移 出典:神奈川県「かながわ高齢者保健福祉計画(第8期)―介護保険の状況」より作成 場合の診療報酬加算が設けられる見込みである。 - 24 -
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