- 41 -たとえば、ソーシャルワーカーを自治体のなかにあるコミュニティ関係部局に配置するのはどうでしょう。自治会の会長さん、民生委員・児童委員さんは、さまざまな情報を持っています。それらの人たちとソーシャルワーカーの連携を強め、情報を共有していく間に行政が立つのです。 また、どの部局、組織に人をはりつけるにしても、行政内部の部局間の連携をつよめ、ソーシャルワーカーとソーシャルワーカー、ソーシャルワーカーと行政との間の情報共有をすすめながら、地域の課題やニーズをたえず発掘し、協議していく工夫が大事になってくるでしょう。 つまり、ライフセキュリティの社会とは、「サービスプロバイダー」の時代から、自治を土台とした「プラットフォームビルダー」の時代へと、社会のありかたを大胆に変えていくことを意味しています。 先の国際定義をもう一度見てください。「この定義は、各国および世界の各地域で拡張されうる」との文言があります。そうです。私たちにとって理想のソーシャルワークのありかたを考えていく勇気こそが大切なのです。 ソーシャルワーカーの専門性が大事であることを認めたうえで、いま求められているのは、地域全体がソーシャルワークを行うための基盤作りです。地域のさまざまな課題を自分たちで解決する自治がまずベースにあり、そのなかでソーシャルワーカーが結節点、接着剤となりながら、地域全体がソーシャルワーク、すなわち一人ひとりの困りごとの背景ごと変えていくような実践のプロセスが重要になってくるのです。 22))参参加加かか??強強制制かか?? 以上で指摘したように、ライフセキュリティの社会では、従来のサービスへのアクセス権を強め、さらにベーシックサービスをつうじて、人びとの生存・生活保障機能を強化していきます。これらは国=ナショナルなレベルでの社会連帯の姿ですが、他方で、ソーシャルワークをつうじて地域=ローカルなレベルでの社会連帯も追求します。 その際、ひとつ気をつけておくべき問題があります。それは、地域包括ケア、そして地域共生社会へという大きな流れのなかで、人びとの「参加」が地域福祉の前提となり始めているという現実です。 2017 年および 2020 年の法改正で、社会福祉法に大きな変更が加えられました。以下、その確認をしておきたいと思います。 第 4 条 地域福祉の推進は、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を目指して行われなければならない。 2 地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者(以下「地域住民等」という。)は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるように、地域福祉の推進に努めなければならない。 3 地域住民等は、地域福祉の推進に当たつては、福祉サービスを必要とする地域住民及びその世帯が抱える福祉、介護、介護予防(要介護状態若しくは要支援状態となることの予防又は要介護状態若しくは要支援状態の軽減若しくは悪化の防止をいう。)、保健医療、住まい、就労及び教育
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