かながわ福祉ビジョン2040(創立25周年記念事業)
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の抱えている苦悩という問題です。 - 42 -に関する課題、福祉サービスを必要とする地域住民の地域社会からの孤立その他の福祉サービスを必要とする地域住民が日常生活を営み、あらゆる分野の活動に参加する機会が確保される上での各般の課題(以下「地域生活課題」という。)を把握し、地域生活課題の解決に資する支援を行う関係機関(以下「支援関係機関」という。)との連携等によりその解決を図るよう特に留意するものとする。 長い文章ですから、下線部に注意しながら読んでみてください。 2017 年改正では、現行法の第 4 条 2 にあたる規定に関して、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支えあいながら、自分らしく活躍できる地域共生社会の実現をめざしていくという目標がかかげられ、「福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会」について、「与えられる」ものでなく、「確保される」べきものへと書きかえられました。 そのうえで、現行法の第 4 条 3 にあたる規定が追加されたのですが、この規定では、地域住民等が課題を把握し、関係機関との連携をつうじて「解決を図るよう特に留意するものとする」とされていることがわかります。単に留意するのではなく、「特に」留意せねばならないとされているのです。 2020 年改正では、第 4 条 1 項の規定が追加されました。ここでは、一目でおわかりのように、地域福祉の推進は住民の参加を前提とした努力義務としてあらわされていますね。 全体のトーンをみなさんはどのようにお感じでしょうか。地域住民が共生社会の実現のために参加する機会が確保されねばならない。地域住民は地域課題の解決を図るよう「特に」留意せねばならない。住民が参加し、共生する地域社会をめざして、地域福祉の推進は行われなければならない。あたかも参加以外の選択肢がないような書き振りになってはいないでしょうか。 これらの法改正の理由を、悪意に満ちた国が国民への支配を強めようとしているとみるのは誤りです。そうではなくて、きびしい財政事情の一方で、高齢化が進み、さらにはダブルケアやヤングケアラーと呼ばれるような現役世代にとって深刻な問題が浮かびあがってくるなか、限られた財源でやりくりできないことへの危機感がその根底にあると見るべきです。 ですが、予算を節約するために人びとが参加と強制を強いられる、こうした動きがさらに広がっていくとすれば、私たちはとても窮屈な社会を生きねばならないことになります。そうであれば、私たちは、税をつうじた新たな社会を構想することも視野にいれていくべきです。 33))フフララッットトににななるるたためめのの条条件件 では、どの程度の財源が必要なのか、という話になるのですが、その前にもうひとつだけ、確認しておきたいことがあります。1-2)では、福祉や医療に関わる人たちの「強い立場」を強調してきました。 ですが、現実にはこれとは正反対のベクトルも存在していることを忘れるべきではありません。............それは、サービスを提供する人たち

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