....によってではなく、人びとが....生きやすそうすれば、多世代による生活面、経済面、精神面などでの支えあいを促進する実践例が次々と出てくるはず。これを蓄積・発信していくことも大事です。次の章であおいけあの「ノビシロハウス」を紹介しますが、これもまた、この情報発信のひとつの試みです。 情報の共有が進めば、高齢者と若者がともに生活しやすい物件の開発と供給も進むでしょう。これが多世代生活や共生デザインを柱としたコミュニティ開発と結びつきながら、積極的なインフラ投資につながっていけば理想的です。もちろん、これらに対する行政の支援も重要になってくることは、いうまでもありません。 もう一点、先に「ハイブリッドサービス化」について触れましたが、従前の介護サービスと近隣者によるサポートを組みあわせることも検討の価値があります。行政と協力しながら、事業者もまた、介護保険適用サービスと、保険外で自己負担の有償サービスとをうまく組みあわせ、提供できる選択肢の幅を広げていくのです。 以上の行政や事業者の改革は、「頼りあえる社会」へと街の姿を変えることに貢献し、そのことが、一人ひとりの住民の意識を変えていくかもしれません。 想像してください。病気になっても、介護が必要になっても、安心して暮らせる街。誰かを気にかけ、みなが誰かと支えあい、頼りあうことを自然なことと思える街。 それは、けっして「奉仕」と「自己犠牲」の街ではありません。その地域に住み続けるなかで、時には自治会で、時には NPO で、さまざまな場所を自由に人びとが出入りし、自己実現と、いまの誰かの困りごとと、自分自身の未来の安心とをつなげるために、知恵を出しあう街です。 そんな街ができれば、人とのつながりや関わりあいに希望を感じる意識、互いに違うことを当たり前だと感じられる意識、家のなかにも、地域にも、居場所と役割があることの喜びを感じる意識へとつながっていくのではないでしょうか。 22))「「福福祉祉ササーービビスス」」かからら「「生生活活ササーービビスス」」へへ 私たちは、2040 年の神奈川県を念頭に、社会保障からライフセキュリティへ、すなわち、事故や問題があったときのセーフティネットを重視する社会から、生存と生活を支えあい、人間性を保障しあう社会への転換をめざそうとしています。 これらを一言でいいあらわせば、「福祉を地域に」ではなく、「地域が生活を」への価値の転換、ということになります。繰り返しをいとわずにいいますと、これは生活を地域に丸投げするのではなく、地域が生活を支えあうような、「公・共・私のベストミックス」をめざすことにねらいがあります。 ですから、これまでのように「福祉サービス」を当事者・利用者に提供することが目的なのではなく、「生活サービス」をすべての人たちに行き渡らせ、生活ニーズ全般が満たされるように、地域のプレイヤーがそれぞれの立場でかかわりあう、気にかけあう社会をめざしていくことになります。 これまでの行政は、既存の社会保障の枠組みのもと、介護、障がい、子育て等に特化しながら、............個別のサービスを個別の部局が担当してきました。ですが、そういう人の属性にしたがった縦割.りがるサービスを制度として認めていくことになります。 ......、暮らしやす...くなる- 47 -........くなるという基準で、それらにつな
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