かながわ福祉ビジョン2040(創立25周年記念事業)
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1 ⾏政の成果連動型⽀払契約と⺠間資⾦の活⽤を組み合わせた官⺠連携⼿法の⼀つ。⺠間事業者が、資⾦提供者 55))行行政政よよ、、事事業業者者よよ、、ププララッットトフフォォーームムビビルルダダーーににななれれ!! かつてのような経済成長が期待できず、自己責任で生存・生活の「必要(ニーズ)」を満たしていくことが難しくなるなか、これまでの行政主導の社会保障では対応できない地域課題が次々とあらわれています。 こうした変化は、行政の役割もまた、変えずにはおきません。 それを私たちは、「サービスプロバイダー」から「プラットフォームビルダー」へと表現してきましたが、この変化は、行政という存在を「グランドデザイン(大きな旗振り役)」から「プラットフォームデザイン(基盤を作る黒子)」の主体へと変えることを意味します。つまり、既存のサービスを必要とする人たちに届けることと同時に、地域のアクターが課題解決に挑む「自治」の力をどのように育んでいくかが鋭く問われる時代になるのです。 いまある介護保険、医療保険は、疾病や介護のニーズに対して、「事後的」に対応する制度設計になっています。これはこれで重要なのですが、私たちは、保険機能を再検討することも含め、「神奈川県版ライフセキュリティ」を構想する段階に来ていると考えています。 まず、最初の一歩として、事後的に保険で対応するという発想にとどまるのではなく、フレイル予防活動などを充実させながら、介護度や健康状態を改善するための取り組みを進めていく必要があります。 その際、保険制度の財源を保険料一辺倒で行うのではなく、たとえば、ソーシャルインパクトボンド 1などを活用し、介護予防の改善と予算の削減とを同時に追求することも視野に入れるべきでしょう。また、提言 4)で指摘したような、未病を中心とする予防医学を深化させ、健康寿命の延伸を図るための施策に力点を置くことも大切です。 私たちは、提言 1)、2)のなかで、福祉の「ハイブリッドサービス化」の有効性を強調しましたが、この観点は、自費利用が可能な人たちの選択肢を増やすこととうまく連動させられるかもしれません。 つまり、自由診療や混合介護を認めることで、自費利用に納得した人たちが要望する手厚いサービスに対応し、その満足度を高め、さらに利用増を図る戦略です。ここで得られた財源をうまく活かしていけば、ケアワーカーの処遇改善にもつなげられます。 生存と生活を軸に「人間性の保障」を行うという視点からは、効果的に施設、住居を整備することまで保障の範囲内にくわえていくべきです。 一方では、住宅手当の創設によって、低所得層に現金の給付を行うわけですが、自治体レベルでは、空き家等の余剰インフラの転換・活用を促す仕組みづくりを模索すべきです。たとえば、所得対策としては、空き家を自治体が借りあげ、これを安価で低所得層に貸与する方法が考えられます。 - 52 -から調達した資⾦を基に、⾏政機関から委託された⾏政サービスを実施。成果⽬標を定め、⽬標を達成した場合に資⾦を拠出した投資家に報酬が⽀払われる仕組み。

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