- 65 -れが、「地域福祉プラットフォーム」だと考えています。制度への順守が強まると、すべての事業者は平準化されたサービスしか提供できなくなってしまう。安全を第一に掲げる事業所がある一方で、利用者が人生を楽しむためにはある程度のリスクもとっていくようなサービスに重きを置く事業所もあると。そういった事業所ごとの個性を行政と地域包括支援センターが把握したうえで、利用者の希望に応じて選択肢を示せる、そんなプラットフォームが地域にいくつもあることが大事なのかも知れません。 ――他とは一線を画す「ぐるんとびーモデル」ですが、それは、藤沢市内で運営したからこそ実現できたのでしょうか。 菅原さん:藤沢市だけが特別なわけではないと思います。ただ、前述した地域福祉プラットフォームを築いて地域に個性的な事業者を点在させ、福祉を街づくりの基本に据える自治体が今後は神奈川県内で出てくるかも知れません。もし、僕たちの事業モデルを誘致し、場所も貸してくれるという自治体があって、例えば、そこが人口減少地域であれば新たな雇用が生まれますから、地方創生につながる可能性だってありますよね。変化しようとする自治体とチャレンジングな事業者とのマッチングを、かながわ福祉サービス振興会が担うというアイデアも面白いと思います。 ――福祉は、高齢者や障害者といった弱者のためのものと捉えられがちですが、あらゆる人が人生を前向きに生きるために必要なものでもあります。「地域を大きな家族ととらえる」、「ちょっと我慢、ほどほどの幸せ」という言葉から、菅原さんは全体の最適が見える人を増やしていくことが大事だとおっしゃっていますね。 菅原さん:誰かの暮らしを支えようとすると、その取り組みはあらゆる分野に及びます。しかし、福祉サービスだけで個人の生活のすべてを満足させることは難しいでしょう。だから、利用する側も、生活の中で最低限大事にしたい所を支えてくれるサービスを重視して、結果としてほどほどの幸せを得られることが最適なのだと思います。その意味からも、住んでいる地域に選択肢(複数のプラットフォーム)のあることが大事なのです。 人材を育むという点では、プラットフォームがあることで、地域に根差した福祉の担い手が自然に生まれ、お互いを支える意識も醸成されていくと思います。ぐるんとびーは「街かど葬
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