かながわ福祉ビジョン2040(創立25周年記念事業)
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- 83 -で、多世代が集う学習環境を小・中学校のカリキュラムに組み込むことで、世代間交流活動を実施しています。児童とその家族、地域の高齢者など、あらゆる世代が世代間交流モデルに基づいて生涯学習を実践する場となっています。 ((99)) アアメメリリカカ CCCCRRCC((CCoonnttiinnuuiinngg CCaarree RReettiirreemmeenntt CCoommmmuunniittyy)) CCRCとは、リタイア後の人がまだ元気なうちに入居し、介護が必要になっても他所の地へ移転することなく、同じ場所で人生の最期までを豊かに暮らすための高齢者生活共同体のことです。アメリカには 約 2,000 カ所あり,約 60 万人が住んでいるといわれています。 都市部のタワー型のほか郊外型、リゾート型といったスタイルがありますが、あるリタイヤメントコミュニティでは、ゴルフ三昧の生活でアルツハイマー病の患者が増えたというケースが報告されています。これは、知的な刺激に乏しい生活が原因とみられることから、今注目されているのは大学連携型CCRCです。大学での生涯学習や学生との交流を通じて、知的刺激や多世代交流の不在を解消するのが狙いで、約 2,000 あるCCRCのうち、大学と連携したものは 80~90 に上るといわれます。中には、大学で一定時間以上、生涯学習に参加することを入居条件としているCCRCもあるそうです。 ((1100)) イイギギリリスス ケケアアララーーととヤヤンンググケケアアララーーのの支支援援 イギリスは、介護者支援が進んだ国といわれており、ケアラーセンターやケアラー法に基づく支援を行っています。ケアラーセンターでは、ケアの情報提供やアドバイス、ピアサポート、環境整備、経済支援等を行い、ヤングケアラーに対してニーズに沿った支援や、他のヤングケアラーとの交流など様々なプログラムが提供されています。 2014 年の法改正により、ケアラーへのアセスメントと支援が地方自治体の責務となり、ヤングケアラーにもアセスメントの権利(家族の誰かを世話することが適切かどうかを判定すること)が与えられるようになりました。 ((1111)) 台台湾湾 アアジジアア一一ののホホススピピススケケアア 台湾では、WHOがホスピス緩和ケアの実施を提唱する 20 数年前から、台湾の国民皆保険制度「全民健康保険」による在宅医療ケア計画を開始しました。これは、高齢者が在宅でも医療が受けることができ、最期を迎えられるようにするためのもので、政府にとっても重要な政策目標となっています。イギリスの国際経済誌「エコノミスト」が 2015 年に発表した世界の終末医療の状況に関するレポート「2015 年死の質ランキング」によると、台湾は評価対象である 80の国、地域のうちの6位、アジアでは 1 位にランクインしました。特に、緩和ケアなど台湾の終末期医療体制は、国際的に高い評価を受けています。 また、患者の意思を尊重するための「病人自主権利法」が 2018 年1月6日から施行されており、医療の事前指示書を作成する相談窓口を通して、医療ケアを受けるか拒否するかを事前に選択できる仕組みがあります。これは、アジア地区で初めて患者に対する自己決定権を保障する法制度となりました。 ※チャータースクールとは、従来の公立学校では改善が期待できない、低学力をはじめとする様々な子どもの教育問題に取り組むため、親や教員、地域団体などが州や学区の認可(チャーター)を受けて設ける公立の初等中等学校。公費が支給され、民間が運営する。

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