三方良し‐地域共生社会への実践報告 社会福祉法人兼愛会 しょうじゅの里相模原 三方良し‐地域共生社会への実践報告 看護小規模多機能型居宅介護事業所 しょうじゅの里相模原 はじめに 高齢化や少子化が進行する中で地域社会の課題が多様化し、さまざまな課題が生じています。こうした 課題の解決には、行政や事業者だけでなく、地域住民一人ひとりが主体的に関わる「地域共生社会」の形 成が求められます。 本報告では、「三方よし」(自分よし、相手よし、世間よし) の理念のもと、地域の社会資源を動員し て、制度の縦割りやサービスの担い手という関係性を超えて、地域のつながりを大切にしながら、住民と 小売店が連携して取り組んだ実践事例を紹介します。 背景 地域で生協(消費生活協同組合)が閉店したことを契機に、高齢者や交通手段を持たない住民の間で 「買い物難民」の問題が深刻化しました。これに対し、地域包括支援センターが中心となり、地域ケア会 議が開催して、解決策を話し合い、地域の社会資源を活用する取り組みが始まりました。 特に高齢者においては、買い物に行けなくなったことが原因でフレイル状態に陥る方が増加し、日常生 活の質の低下が懸念されました。 取り組みのプロセス 1. 課題の共有 地域住民から「買い物ができない」という声が多数寄せられ、問題の可視化が進みました。特に高齢 者の生活機能低下が深刻な課題として浮き彫りになりました。 2. 役割分担と連携 地域包括支援センターがコーディネーターとなり、地域ケア会議を通じて関係者が協力体制を築き、 以下の役割を担いました。 • 住民:ニーズの提示、支援者としての協力 • 小売店:移動販売の実施 3. 移動販売の実施 話し合いを経て、移動野菜販売を具体策として採用し、週 1 回の定期販売を開始しました。当初は 試験運用でしたが、住民の意見をもとに品目や時間帯を調整し、利便性を高めながら運用を継続しまし た。 14
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