第12回かながわ福祉サービス大賞

第12回かながわ福祉サービス大賞 先進事 福祉の未来を拓く 例

かながわ福祉サービス大賞の歴史 第1回大会 (2012年) 「被介護者ではなく地域資源としてのお年寄、たくさん!」 小規模多機能型居宅介護おたがいさん 第2回大会 (2013年) 「その人らしい住まい方実現~豊かな感情表出・自由に外出できる暮らし~」 株式会社学研ココファン 学研ココファン日吉 第3回大会 (2014年) 「利用者の生きるに寄り添って」 有限会社ふれんどりぃ 第4回大会 (2015年) 「~小規模多機能は在宅への架け橋となり得るか~」 社会福祉法人 愛翁会 小規模多機能ホームななかまど 第5回大会 (2016年) 「地域の中にある開かれたサ高住を目指して」 株式会社ツクイ ツクイサンフォレスト横浜戸塚東 第6回大会 (2017年) 「地域を一つの大きな家族に」 ぐるんとびー駒寄 第7回大会 (2018年) 「川崎市の福祉が里山の福祉を変える~600kmを超えて共生と連携~」 株式会社アイム 第8回大会 (2020年) (コロナ禍事例を共有するという趣旨で開催し、大賞等の選考は中止) 第9回大会 (2021年) 「福祉事業を越え、住民相互の支え合いへ」 特定非営利活動法人ぐるんとびー 第10回大会 (2022年) (大賞選考はなく優秀賞3事例受賞) 第11回大会 (2024年) 「違いを『楽しみ』そして『繋がり』~助け合える地域へ~」 NPO法人霧が丘ぷらっとほーむ 「福祉の未来を拓く先進事例発表会」これまでの歩み

第12回かながわ福祉サービス大賞に寄せて 公益社団法人かながわ福祉サービス振興会 理事長 瀬戸 恒彦 本日は、多くの皆様にご参加いただき、第12回「かながわ福祉サービス大賞」が開催さ れますことを大変うれしく思います。この大会は、介護・福祉事業所及び団体が先進的に取 り組んでいる事例を紹介し、特に優れた事例を顕彰することにより福祉の現場に光を当てる ことを目的として、平成24年に始まりました。コロナパンデミックの影響で開催できなかっ たこともありましたが、13年にわたって継続できますのも、ご支援とご協力をいただいて いる会員の皆様及び協賛企業の皆様のおかげです。心より御礼申し上げます。 私たちは、令和3年度に「かながわ福祉ビジョン2040」を作りました。その中で、高 齢者も、障がい者も、子どもも、笑顔で幸せに生きることのできる共生社会づくりを目指す ことといたしました。私たちが目指す共生社会は、地域の社会資源を総動員し、それぞれが 役割を担うとともに、サービスの担い手と受け手という関係性を超えて、皆が主体的に参画 し、地域の一員として豊かに暮らす社会です。 今回、地域共生社会づくりを進める上で重要な考え方となる「三方良し」をテーマとして 募集したところ、27事例の申し込みがあり、その中から一次審査を通過した8事例が、こ の会場で発表することになっています。かながわ福祉サービス大賞に応募された皆様は、団 体内の取り組みに留まることなく、地域社会を良くするために活動をされており、これから の時代を切り開くチャレンジャーではないかと思います。 本日は、会場に足を運んでいただいた皆様に地域共生社会の躍動を感じていただければ幸 いです。そして、この躍動を止めることなく前進させてまいりますので、今後とも、ご指導 とご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

第12回かながわ福祉サービス大賞 大賞 審査員 特別賞 賞金5万円 優秀賞 事例発表会(表彰式) 日 時 令和7年2月6日(木) 15時00分~17時30分 会 場 ロイヤルホールヨコハマ 内 容 応募の中から一次審査で入選した8事例の発表 前大会対象受賞団体の特別対談 かながわ福祉サービス振興会では、2040年の神奈川県の福祉の未来を展望した「かながわ福祉ビ ジョン2040」において、高齢者や障がい者をはじめ、地域に住まうすべての人々が幸せに暮らすこと ができる地域を共創するための提言を行っています。 私たちが目指す地域共生社会は、介護・福祉事業者だけでなく、地域の社会資源を総動員してそれ ぞれが役割を担うとともに、制度の縦割り、サービスの担い手と受け手という関係性を超えて、皆が 主体的に参画し、地域共生社会の一員として豊かに暮らす社会です。そうした未来を見据え、様々な 団体や個人が連携して取り組む実践事例にフォーカスし、地域共生社会をより前進させる場とするこ とを目的として「第 12 回かながわ福祉サービス大賞」を開催します。 事例テーマ 「三方良し」 自分良し・相手良し・世間良しの実践事例 神奈川新聞ニュースサイト「カナロコ」に活動紹介記事を掲載 賞金10万円 副賞 審査委員 審査委員長 慶応義塾大学経済学部 教授 井手 英策 井口 健一郎(社会福祉法人小田原福祉会 理事) 太田 久美子(神奈川県福祉子どもみらい局子どもみらい部 部長) 加藤 忠相 (株式会社あおいけあ 代表取締役) 鈴木 智香子(認定NPO法人市民セクターよこはま 理事長) 瀬戸 恒彦 (公益社団法人かながわ福祉サービス振興会 理事長) 林 義亮 (神奈川新聞 元取締役統合編集局長・取締役論説主幹) 星野 光彦 (社会福祉法人よるべ会 法人事務局)

入選事例 子どもたちのピンチを救え!入居者さんと共に歩んだ 「大ピンチひなんじょ」づくりまでの道のり グループホーム 水車の里 No.1 みんなでつくる、みんなの『ぷらいどらんど』 ぷらいどふぁーむ株式会社 No.2 地域に根ざしたインクルーシブなコミュニティの創出 一般社団法人フラットガーデン No.3 地域共生文化拠点。(福祉・地域・未来をつなげるウェルビーイング) 社会福祉法人愛川舜寿会 春日台センターセンター No.4 子どもたちが夢を描き、それを地域の大人が支える未来へ NPO法人未来経験プロジェクト No.5 「三方良し」の実践事例 認知症カフェ動画プロジェクト「まちかどピクチャーズ」 認定NPO法人市民セクターよこはま No.6 ひがまた号が走る ~暮らし続けられる町へ~ 社会福祉法人和みの会 特別養護老人ホーム和みの園 No.7 福祉の力で社会を笑顔にかえる! 市民、行政、福祉 みんなを笑顔にする三方よしのモデル事業! 就労継続支援B型事業所 KAERUWorks No.8 *応募事例の選考・表彰に際しては、審査基準をもとに審査委員会にて実施しています。

子どもたちのピンチを救え!入居者さんと共に歩んだ 「大ピンチひなんじょ」づくりまでの道のり グループホーム 水車の里 No.1 1 2 3 4 5 6

7 8 9 10 アイスクリームをきっかけに地域の子ども達との交流が生まれ、子ども達のために何かできない か、と考えたグループホームの皆さんに心が温かくなりました。こうした支え合いが他の地域にも 広がってほしいと感じました。 グループホームの運営が厳し中、理念に基づいた地域福祉を創造する活動を実施されていることを 評価します。認知症高齢者と子供たちが交流できる機会を作るとともに、地域課題を解決するため の取り組みを進めていることに共感します。 一次審査での審査員コメント

みんなでつくる、みんなの『ぷらいどらんど』 ぷらいどふぁーむ株式会社 No.2 1 2 3 4 5 6

7 8 圧倒的な企画力で、様々な要素を織り交ぜながら、「伴走型の農福連携」を実践しておられます。 三方良しのモデル事業ではないでしょうか。 「圧倒的な品質の一次産品を根幹とした事業化」というコンセプトに感服しました。また、多様な 賛同者が集まり、役割を果たしている様子がうかがえますし、「5つのゾーン」構想もワクワクし ます。大いに注目したいと感じました。 一次審査での審査員コメント

地域に根ざしたインクルーシブなコミュニティの創出 一般社団法人フラットガーデン No.3 1 2 3 4 5 6

7 8 地域の様々な方が混じり合う素敵な空間だと感じました。こうした居場所がたくさん増えていくこ とを願います。 高齢者や障がい者、子どもが交流できる拠点づくりは、地域共生社会づくりのモデルとなるもので す。こうした取り組みが、地域のコミュニティの再生につながると思います。 一次審査での審査員コメント 9 10

地域共生文化拠点。(福祉・地域・未来をつなげるウェルビーイング) 社会福祉法人愛川舜寿会 春日台センターセンター No.4 1 2 3 4 5 6

7 8 9 10 全国から、注目される先駆的な取組。ごちゃまぜを実現させる考えつくされた距離感など、多くの 居場所のモデルとなる事業です。 ずば抜けている印象。ただしその分、汎用性に欠ける点が欠点だが金銭的に余裕があればできるこ とはできるし、こういう理念をもっと広げていってほしい。 一次審査での審査員コメント

子どもたちが夢を描き、それを地域の大人が支える未来へ NPO法人未来経験プロジェクト No.5 1 2 3 4 5 6

7 8 9 10 行政や地域の事業者・団体との連携・協力により、子どもに関する多様な活動を展開されていま す。また、薬局や飲食店のニーズを丁寧に拾って子どもへの支援に活用するなどきめ細かい活動を されていると感じました。運営には大変なご苦労があると思いますが、子ども達が夢を持てる社会 となるよう、今後も子どもや家庭のニーズに対応し、活動範囲を広げていっていただきたいです。 地域のニーズを捉えて事業を立ち上げ、仕組みをつくり、地域で子供を育てる実践活動に共感しま す。公民連携して事業を推進している様子がうかがわれます。こうした地域を増やしていきたいと 思います。 一次審査での審査員コメント

「三方良し」の実践事例 認知症カフェ動画プロジェクト「まちかどピクチャーズ」 認定NPO法人市民セクターよこはま No.6 認定NPO法人市民セクターよこはまは6人の市民リポーターととも に横浜市内外18か所の認知症カフェ等を取材し動画を制作・公開す る「まちかどピクチャーズ」プロジェクトを進めています。認知症 カフェの情報を広く発信する本活動が、認知症のイメージを変え、 誰もが自分らしく活躍できる共生社会を実現するために寄与できる ことを、認知症当事者を含む市民リポーター、各カフェ、そして地 域社会という3つの視点から紹介します。 当事者が取材することで、自己実現の機会となるだけでなく、カフェの活動に当事者目線の評価を 入れることができるなど、様々な効果があり、先駆性があると感じました。 当事者とサポーターが認知症カフェを取材することにより、認知症カフェの運営をしている方々の 学びにつながると感じました。当事者とカフェ運営者、そして活動の見える化による地域づくり効 果が期待できます。 一次審査での審査員コメント ひがまた号が走る ~暮らし続けられる町へ~ 社会福祉法人和みの会 特別養護老人ホーム和みの園 No.7 和みの園広報委員が施設長の奮闘ぶりを追う。 長年の願いだった地域貢献車、農地が広がる戸塚区東俣野町の一帯 にはバス通りまでは坂が多く、何とかして日常の移動を支えたいと 考えていた。 非常時に電源の役割を果たすEV車を購入し運行しようとした矢先、 市からも協力の依頼。 地域の小学生が命名(ひがまた号=東俣野町を走るから)。 維持管理や運転手の雇用に掛かる費用は和みの園が負担。小さな町 で生活する仲間同士、ひがまた号を通して顔の見える関係ができあ がる。 横浜市との連携事業だと思いますが、多くの施設でこのような取組ができればありがたいと思いま した。「町の中には小さな課題が沢山あって、それを少しずつ拾いながら暮らしている仲間」とい う言葉から、施設のスタッフの皆さんの地域への思いを感じました。 社会福祉法人の地域貢献活動の良い事例だと思います。非常時の電源となるEV車をコミュニティヴ ィークルとして活用することにより地域住民とのつながりを持つことができ、地域づくりへの貢献 が期待できます。 一次審査での審査員コメント ※画像をクリックすると動画が再生されます ※画像をクリックすると動画が再生されます

福祉の力で社会を笑顔にかえる! 市民、行政、福祉 みんなを笑顔にする三方よしのモデル事業! 就労継続支援B型事業所 KAERUWorks No.8 当B型事業所は2024年より座間市と直接提携し、ごみの集積所に出 された布や燃えないごみを回収しまだ売れる物を選別、買い取り市 の収入にする取り組みを始めました。市民サービスの向上、市の歳 入の向上、工賃の向上とまさに三方よしの取り組みになっていま す。市と福祉の協働にも繋がる活動です。 リユース事業に障がい者が関わることにより、市民サービスの向上、市の歳入の向上、工賃の向上 につながっていることに感心しました。このような取り組みが広く普及することにより、地域共生 社会づくりにもつながると思います。 就労支援B型事業所が、行政とも協働して洋服のリサイクルを起点とした循環型の事業により、工 賃アップをはかるなど、今回のテーマに即した提案ともいます。 一次審査での審査員コメント このたびは、「三方良し」をテーマにした地域共創の連携事例に、たくさんの素晴らしい取組みをご応 募いただき、誠にありがとうございました。皆さまの熱意あふれる活動に触れ、地域共生社会の未来に向 けた大きな可能性を感じております。地域の多様な主体が連携し、支え合いながら新たな価値を生み出す ことが、これからの社会には求められています。本かながわ福祉サービス大賞が、さらなる協働の輪を広 げる契機となることを願い、私たちも引き続き尽力してまいります。ともに、誰もが安心して暮らせる社 会づくり、まちづくりを進めてまいりましょう。 (前回大会)第11回かながわ福祉サービス大賞 ※画像をクリックすると動画が再生されます

応募事例 1. 福祉商品と交換できるデジタルギフトで、広げよう社会貢献の輪 株式会社青葉ギフト 2. みんなで取り組む「からだ相談会」 からだ相談会/リハプライド・つづき 3. フル〇ンサポート~まず我々が脱ぐ~ 認知症フレンドリー 4. 共生型短期入所ー子ども、障害、高齢者、みんなの居場所を作るために 社会福祉法人 小田原福祉会 5. 選んだ道 ~日本で介護の仕事に就いて~ 小規模多機能型居宅介護事業所メイプル 6. 「三方良し」(企業良し、自治体良し、住民良し)実践事例 エーザイ株式会社 7. 金沢区防災サミットの取り組み 関東学院六浦高等学校 1年GLEクラス 8. 精神障害の相互扶助の仕組み「三方良し」 NPO法人ライラック心の会 9. 孝楽会の三方良し! 社会福祉法人孝楽会 10.入居者様、地域、そして未来を繋ぐ革新の連携ストーリー 社会福祉法人ばなな会 11.ガイヘルパー写真展開催について ~地域を超えた事業所連携による福祉業界の魅力発信と人材不足解消への取り組み~ 合同会社起差点-きっさてん12.障害者専門の結婚相談所 株式会社allesliebe 13.地域がつながる、支え合う社会 阿久和ともにプロジェクト 14.三方良し‐地域共生社会への実践報告 社会福祉法人兼愛会 しょうじゅの里相模原 15.生ごみ処理機「キエーロ」の制作販売による環境と福祉の連携 一般社団法人葉山ぷらす 16.買い物リハビリで築く、地域と高齢者の共生社会 株式会社リカバリータイムズ 17.障害福祉とトマトジュース きらめきの家 18.いろんな子ども×アーティスト×地域で三方良しの社会を創造♪ プロジェクションマッピングで綴るデジタル絵本「トータスくんの冒険」 一般社団法人Wonder Forest 19.寒川ホーム×地域×介護の未来 社会福祉法人吉祥会 寒川ホーム

福祉商品と交換できるギフトで、広げよう社会貢献の輪 株式会社青葉ギフト 1 2 3 4 5 6 1

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みんなで取り組む「からだ相談会」 リハプライド・つづき 13 14 施設や購入者の課題をクリアするまさに三方良しのプラットフォーム。より多く利用して欲しいと 思いました。また、地域版があることで、自分の地域の施設を知ることができる点もよいと思いま す。 審査員より 1 2 3 4 2

9 10 ケアプラザを拠点に地域住民の暮らしを支えるすばらしい取り組みだと思います。関係者の皆さま が地道な努力を積み重ねてこられている様子が推察できます。 審査員より 5 6 7 8

2 フル〇ンサポート~まず我々が脱ぐ~ 認知症フレンドリー 3 1 3 4 5 6

7 8 地域の支え合いの好事例です。認知症の当事者との交流を通じて学ぶこともあると思います。こう した取り組みが自然に増えていくことが期待されます。 審査員より 9 10 共生型短期入所ー子ども、障害、高齢者、みんなの居場所を作るために 社会福祉法人 小田原福祉会 1 2 4

3 4 5 6 7 8 高齢者や障がい者、子どもが利用できる拠点があれば、地域で安心して暮らすことができます。こ の事例は、家族を丸ごと支えるサービスのあり方に一石を投じています。 審査員より

選んだ道 ~日本で介護の仕事に就いて~ 小規模多機能型居宅介護事業所メイプル 1 2 3 4 5 6 7 8 5

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17 18 19 20 外国人介護スタッフが、日々の仕事をしながら日本語や介護を勉強し、成長していく姿に好感を持 ちました。志の高い介護職員がいる事業所は、サービス利用者や地域にとってありがたいことで す。 審査員より 「三方良し」(企業良し、自治体良し、住民良し)実践事例 エーザイ株式会社 1 6 2

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9 10 11 難しそうなテーマのように感じたのですが、「あたまの健康度を測る」というフレーズになるほ ど!と腑に落ちました。血圧や体重のように脳の健康度合いを計測したあと、住民に対してどのよ うなフォローを行うのか、習慣化にむけた地域での取り組みについての実践や計画も伺いたいと感 じました。 審査員より 金沢区防災サミットの取り組み 関東学院六浦高等学校1年GLEクラス 1 2 7

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9 10 高等生による取組事例であり、地域づくりに欠かせない防災というテーマであることから興味深か った。教科書による学びから脱却し、地域に飛び出して課題解決に向けた取り組みを進めることに 意義があると思います。 審査員より 精神障害の相互扶助の仕組み「三方良し」 NPO法人ライラック心の会 1 3 4 8 2

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15 16 支援する側・支援を受ける側の双方にメリットがある取組。特に、ピアサポーターを有給とするこ とで持続可能な好循環となっていると思います。 審査員より 14 13 孝楽会の三方良し! 社会福祉法人孝楽会 9 2 1

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11 12 13 14 15 16 農園、クールシェア、サロン、移動支援など多様な活動をされており、地域の皆さんと交流したい という法人の積極的なメッセージを感じます。 審査員より

入居者様、地域、そして未来を繋ぐ革新の連携ストーリー 社会福祉法人ばなな会 1 2 5 6 10 4 3

外部のプロフェッショナルと協働することで、利用者のQOLを確実に上げる取り組みです。多くの 施設で取り入れていただきたい提案です。 審査員より 7 8 9 10

ガイヘルパー写真展開催について ~地域を超えた事業所連携による福祉業界の魅力発信と人材不足解消への取り組み~ 合同会社起差点-きっさてん- ガイヘルパー写真展開催について ~地域を超えた事業所連携による福祉業界の魅力発信と人材不足解消への取り組み~ 合同会社起差点-きっさてん- 【取組内容】 弊社は障害福祉サービス事業所「移動サービスきっさてん」を2020年から運営しています。 ガイドヘルパー不足を解消する、ガイドヘルプを人々に知ってもらう、移動支援事業所との連携をつく る、の3点を目的として、2024年2月23日(土)~25日(月)の3日間で「BUKATSUDO GALLERY(横浜市西区 みなとみらい 2-2-1 ランドマークプラザ B1)」において「ガイドヘルパー写真展」を開催しました。展示した写 真は日本各地の移動支援事業所が応募した「移動支援中の利用者とヘルパーの写真」です。 作品応募については、SNSを中心に日本全国の移動支援事業所に声をかけ、2023年10月~11月まで作 品を募りました。2023 年 12 月から 2024 年 1 月まで応募された作品を Instagram の特設アカウントにア ップし、「いいね」の多かった作品の事業所に最優秀賞、優秀賞として賞品を出しました。 参加事業所は、弊社を含めて7事業所です。 ・うきうきわくわく(合同会社うきうきわくわく) 広島県福山市 ・ケアこげら(特定非営利活動法人こげら会) 東京都小金井市 ・Bee6guide(ビーロク合同会社) 大阪府大阪市 ・福祉サービスびすけっと(合同会社びすけっと) 宮城県仙台市 ・ヘルパーステーション樫の木(社会福祉法人せたがや樫の木会) 東京都世田谷区 ・リュータローカンパニー 北海道札幌市 ・移動サービス きっさてん(合同会社起差点) 神奈川県横浜市 参加作品数は 51 点。写真展については、神奈川新聞、これつる~日々是つるみ~、タウンニュース鶴 見版に取り上げていただいたこともあり、延べ来場者(3日間)は概算で100人程度でした。 【考察(展望)】 現在、多くの業界で人手不足が深刻な課題となっています。福祉業界、移動支援(ガイドヘルプ)業界も 例外ではありません。 人手不足解消のためのアプローチの第一歩として「ガイドヘルパーの存在を広く知らってもらう」こと が大切であると考えました。このアプローチは、地域を超えて他の事業所と協力しやすいという利点が ありました。このため「ガイドヘルパー写真展」では、募集エリアを限定せずに全国からの作品応募をよ びかけました。さらにこのイベントに参加するための参加費や写真展の入場料を徴収しませんでした。 なぜなら、この写真展自体が収益を追求するものではなく、参加者(応募事業所、SNSで投票をした人 および写真展の来場者)が積極的に参加できる環境を提供することが主な目的だからです。 「作品を募る」、「SNSで障害福祉を知らない人が写真を見る」、「写真展の会場に障害福祉を知らない 人が来る」という3つの仕組みで「ガイドヘルパーの存在を広く知ってもらう」取組としました。 「ガイドヘルパー写真展」は、ガイドヘルパーという仕事について全く知識がない人々に、「ガイドヘ 11

ルパーとは何か」という情報を広く提供するために開催されるものです。日本全国でガイドヘルパーに 対する認知度が向上し障害福祉の魅力がよりよく伝われば、全国の障害福祉や移動支援事業者にとって ヘルパー不足問題の解決に寄与すると考えています。 現在(2024 年 12 月)、第 2 回のガイドヘルパー写真展が動き出しています。今回も 7 事業所から作品 応募があり、50 点ほどの作品を Instagram の特設サイトで最優秀賞を決める投票が行われています。 * 写真は当日掲示した参加事業所紹介パネルと会場の様子、開催後の事業者交流会です。 ガイドヘルパーを知ってもらうためにはどうすればよいか、皆さんが知恵を絞って考えたことが感 じられる企画です。参加事業所を全国から募ることで、ガイドヘルパーの輪も広がっていくのでは ないかと思います。 審査員より

障害者専門の結婚相談所 株式会社allesliebe 日本唯一 福祉×婚活「障がい者専門の結婚相談所」Perfect for you 株式会社alles liebe 神奈川県相模原市で、現在障がい者専門の結婚相談所を関東圏中心として活動しております。 「障がい者専門の結婚相談所を立ち上げよう」と思ったきっかけは、私が長年勤めていた障害者施設で のご利用者との何気ない会話の中から生まれました。ある日の施設内で、若い女の子達が「彼氏ほしい ね」「無理だよ」「障害者は恋愛出来ないでしょう?」「結婚なんてムリムリ。だから空想だよね」などと 話す声を聞きました。その時ふと「なんでそう思うのかな・人を好きになる事は素敵な事なのに・・・」 と思いました。日々ご利用者と関わる中で「~できない」「~はしちゃいけない」「~は無理」との話を聞 くたびに、当時会社員だった私は、自由な支援が出来ずモヤモヤしていました。 最初は副業という形で「恋愛・結婚相談」に携わる仕事を行っておりました。その中で、恋愛・結婚に ついて様々な相談を聞きました。「障害者雇用で働き将来は家庭を持ちたい」「親亡き後の自分の未来・・・」 「子供の将来を考えると不安・・・」など当事者・ご家族様から相談を受けました。 相談内容はセンシティブな問題ともあり、難しい事も沢山ある中で、試行錯誤していると「名古屋で障が い者専門の結婚相談システムを作っている方」とのご縁から「関東にこの事業拡大しょう!」と一大決 意。私は、2021年「障がい者専門の結婚相談所」を個人事業主として開設しました。北海道から九州 熊本まで、多くの方から問い合わせがあり大阪・長野など行けるところは実際にお会いし、相談やお話を 聞きました。 様々な方との関りの中で「個人ではなく組織として行っていきたい」と考え2022年個人事業主から 法人化にいたしました。法人化と同時に、私のもう一つの思い。それは「一人一人より添える少人数の就 労継続 B 型」を立ち上げることでした。その目標と、実現により「障害者施設が運営する日本唯一の結 婚相談所」が2023年8月にオープンいたしました。 弊社は、相模原市淵野辺駅北口徒歩1分の所にあり、就労継続 B 型施設と障がい者専門の結婚相談所 を運営し「障害をお持ちの方が無限に可能性を広げる支援」を目指し、日々向き合っております。 「自分の人生は自分で決める」を合言葉に、自分の人生の選択・自分に諦めない精神・自分の可能性を信 じる力を身に付け、そして「~できないから」「~してはいけない」「それは無理だよね」と言わない社会 を目指しております。 B型では日中の支援で、社会参加する機会を多く取り入れ、社会に飛び立つ後押しを行っております。 施設ではコワーキングスペース「SABO」を運営し、施設に通うご利用者様と「地域に愛される場所」と して活動しております。今では、ご利用いただいておりますお客様が「SABOのファン」になってくださ り、通所されているご利用者様の「魅力」「才能」を求め、お客様兼、サポーターとして応援してくださ っております。また、結婚相談所でも登録されております会員様の婚活の後押しをしてくださるように なりました。 12

弊社は、日本唯一の取組である、障害者施設が運営する 障がい者専門の結婚相談所です。そのシステ ム、内容についてご説明させていただきます。 現在、5000件以上の結婚相談所が全国にあります。 一般的な結婚相談所では、お見合い・交際・婚活相談・面談のサイクルにより、お相手探しの機会を増や すことで成婚を目指します。 しかしこの方法では、障害を持たれる方は、多くの方に申し込みができな い…、お見合いに繋げられない …、障害についての相談が出来ない…などの結果により、メンタル面が 持たずに婚活を続けられない方も多くいらっしゃいます。 弊社は お相手探しの機会を増やす事ではなく、障害者施設を運営するアドバイザー「福婚アドバイザ ー」が福祉の視点と婚活の視点を持って、一人一人の個性を理解し関わらせてもらっております。その結 果、その方にピッタリの活動方法を提供しながら、自己肯定を上げ、自己成長を促し、自己決定・自己実 行・自己実現に繋げております。この仕組みを「チャレンジサイクル」と呼んでおります。また成婚され た会員様には、成婚後も新生活応援プログラムとして見守っております。 サービス内容は、ステージに合わせたサポートを提供しております。日々の相談サポートでは、24時 間LINE相談・ご家族支援。活動サポートは、リモート塾・リモート合コン。更には 成婚したカップ ルに、新生活応援プログラムを取り入れ、成婚後のお二人が安心できるところまで見守り、成婚者から反 響を呼んでいます。 人気のサポートは ①「男塾」「女性の座談会」毎回会員様が婚活の悩みや、婚活の状況の報告、また成婚者からのアドバ イスなどを共有、また毎月テーマを決めてディスカッションをしています。「自分だけじゃない仲 間がいるんだ」と大好評です。 ②「疑似お見合い」現在は男性限定ですが、就労B型施設(SABOに来るお客様)のサポーターが「疑 似お見合い」を有料ではありますが、サポートしてくださっております。お見合いを苦戦されて いる 方、初めてのお見合い前の練習、異性とのコミュニケーションの取り方などに活用されてい ます。 ③福婚アドバイザーによる「自己開発セミナー」での個人的な悩みや相談、また就労B型施設 (SABO)で定期的に行っております「マルシェ」のサポーターによる、カラー診断や占いなど、 婚活への「自 信に繋がる」サービス提供。 ④「婚活パーティー」を年4回開催。お一人お一人と15分は会話できる、少人数制の仕組み。 活動4年で総会員数100名、成婚者10組、成婚率10%と一般の結婚相談所と変わらない成婚率 を出しております。また障害者同士の成婚だけではなく「障害者をお持ちの方と健常者の方」との成 婚も多く、恋愛には「障がいの有無は関係ない」と改めて実感しております。 嬉しいことに、現在でも成婚者様から多くのメッセージ・年賀状などをいただき幸せのお裾分けをいた だいております。活動中の失敗・失恋の経験は、ご本人にとって辛いものですが、その経験を私達アドバ イザー(福婚アドバイザー)が受け止め、励まし、一緒に考え乗り越えていくことで、その経験が一つの 「自信」になり「自己成長」に繋がる事で「結婚したいというビジョンを持って」最高のお相手を見つけ ることができる活動を展開しております。 私達は人を愛する事は人間として一番の成長だと思っております。また結婚とは「社会に責任を持つこ と」とも思っております。感情のコントロール・思いやりと尊重・自己理解、そしてその先にある「人間 力を磨くこと」「チャレンジする勇気を持つこと」を私達アドバイザー(福婚アドバイザー)がサポート し、後押しする必要があると思っています。

「福婚アドバイザー」と言う言葉はありません。私達独自の言葉です。福婚アドバイザーは福祉的概念 を持った支援者が、恋愛心理・男女の心理をも「学びと経験」からお伝えする支援者です。他社との大き な違いは、この福婚アドバイザーがサポートする点です。全ての障害を知り尽くしているわけではあり ませんが、障害特性に合わせたサポートをすることで、人それぞれの婚活の在り方を見出し、ご本人なり の決意や決断を促す必要性を感じています。福婚アドバイザーが障害をお持ちの方の「結婚したい気持 ち」と「自己決定」を受け止め、その活動の「自己実行」をサポートし、そして人生のパートナー探しの 「自己実現」を伴走型し全力でサポートを行っております。 最後に、アレスリーベの意味は ドイツ語で 「最愛の人」という意味です。すべての人は社会に尊い 存在であり、輝ける人生を送るべきだと思っています。 「自分の人生は自分で決める」を合言葉に障害者の究極の自立を目指していき、「~できない」「~はしち ゃいけない」「~は無理」ではなく、それはすなわち「障害者と言わない、言わせない社会」を作るべく 全力投球していきます。 疑似お見合い 男 塾 自己開発セミナー 婚活パーティー alledliebe 入口スタッフと 成婚者と 「私達は人を愛する事は人間として一番の成長だと思っております。」という考え方に共感しま す。今後のご活躍を期待します。 審査員より

地域がつながる、支え合う社会 阿久和ともにプロジェクト 「外出支援と地域コミュニティの再生」 私たちの地域(横浜市瀬谷区阿久和)では、地域ケアプラザを中心に区役所、区社会福祉協議会、自治 会、地区社会福祉協議会、民生委員、高齢者施設や障害の相談支援等の地域の福祉事業所が協力し、外出 が難しい方や外出先までの距離が遠くて歩いて行けない方に対して送迎サービスを提供しています。こ の取り組みは、高齢の方等が社会参加し、地域の行事や自治会の集まりに参加できるよう支援すること を目的としています。 地域行事の例として、連合自治会で毎年行われている敬老会があります。この敬老会は、高齢化が進 み、会場への移動が困難な方が増えたことで、参加者が減少していました。しかし、送迎サービスを導 入 したことで、これまで参加できなかった約30名の方が敬老会に参加できるようになり、より多くの笑 顔 が見られるようになりました。参加された方々からは、「久しぶりに友達と会えた」「楽しい時間を過 ごせ た」という喜びの声が聞こえてきました。こうした声は、私たちにとって大きな励みとなっていま す。 この他にも、高齢者対象の「お楽しみふれあい食事会」など、地域の方や民生委員の方の支援によ り、 多くの方々が外出の機会を得て、楽しみを増やしています。これらの行事や集まりは、高齢の方等 が外出 の楽しさや人とのつながりの大切さを再確認する貴重な機会となっていて、非常に意義深いもの となっ ています。私たちは、送迎サービスを通じてその活動に少しでも貢献し、「自分良し、相手良し、 世間良 し」の理念を具体的に実現していきたいと考えています。 「三方良しで築く安心の地域社会」 1. 自分良し~プロジェクトメンバーのやる気増進~ この活動に参加することで、自分が他人や社会に役立っていることを実感します。例えば、送迎サービ スを利用する高齢者から「ありがとう」や「助かりました」という感謝の言葉をいただくと、自分の行動 が誰かの役に立っていることがわかり、「自分は誰かの助けになることができるんだ」という自信が生ま れ、満足感も得ることができます。こうした自信や満足感により、日常生活や他の活動にも前向きな気持 ちで取り組むことができるようになり、自己成長にも繋がります。 また、同じ地域にある他法人の職員と協働することで、ともに地域を支える仲間としての意識が芽生 えました。職場の外にも仲間がいるということで、広い視野を持って仕事に取り組めるようになり、阿 久和地区を「自分の地域」と思えるようになりました。 2. 相手良し~高齢者の心身の健康維持~ 交通機関の利用が難しい方や交通機関がない方にとって、送迎サービスは非常に有効な支援となりま す。また、目的地まで送迎することで、安心感を提供し、心の安定にもつながります。地域の方々にと って、定期的な外出は心身の健康維持にもつながります。送迎サービスを利用して社会活動に参加する 地域がつながる、支え合う社会 阿久和ともにプロジェクト 13

ことで、友人や知人との交流を楽しみ、孤立感を軽減できることは、高齢者の心の健康にも良い影響を 与えます。さらに、福祉サービスを知り理解しておくことで、今後必要な支援を受ける際の不安を軽減 し、安心して生活することが可能となります。 3. 世間良し~送迎支援から始まり、地域のつながりや支え合いの力がアップ~ この活動を通じて、地域における支え合いや協力の気持ちを育むことができ、地域全体の福祉が向上 します。地域の方々同士のつながりや協力が進み、支え合うコミュニティが形成されることで、孤立し た高齢者が減少し、地域の安心・安全な環境が作られていきます。 かつては、近所同士で声を掛け合 い、助け合うことが当たり前のことでした。お互いに「最近雨戸が開い ていない」と心配し合うこと で、生活の安心感が生まれていました。しかし、近年は地域の交流が少なくなり、人との関係が希薄化 している現状があります。そこで地域で暮らす人や地域にある施設等が協力し合って送迎サービスを行 うことで、昔ながらの助け合いの精神を取り戻すことができると考えています。この活動を通じて、地 域全体がより安心して暮らせるような環境を築いていくことが目標です。 さらに、この送迎サービスにより、高齢の方等が安心して移動できる環境を整えることで、地域全体の 福祉力を向上させていると考えています。この活動を通じて、地域住民同士のつながりや協力が促進さ れ、より強固で支え合うコミュニティが形成されていきます。地域の福祉事業所も加わり、地域全体が一 体となって支援し合うことで、誰もが安心して暮らせる社会を目指しています。私たちは、地域の交流を 深め、支え合いの精神を育むことで、これからもこの活動を継続し、多くの人々にとって価値あるものと していきたいと考えています。 このように、私たちの送迎サービスは、「自分良し、相手良し、世間良し」を実現し、多くの人々にと って価値あるものとなっています。送迎サービスを通じて、高齢の方々の生活の質を向上させ、心身の健 康を維持し、社会とのつながりを強化することができるのは、私たちにとって大きな喜びであるととも に、地域全体にとっても重要な意義を持っていると考えます。 地域コミュニティを再生するためには、お互いさまの心、人の役に立つ喜びを感じる心が大切で す。外出支援を継続することにより、ご本人の健康増進、住みやすい地域に進化していくことを期 待します。 審査員より

三方良し‐地域共生社会への実践報告 社会福祉法人兼愛会 しょうじゅの里相模原 三方良し‐地域共生社会への実践報告 看護小規模多機能型居宅介護事業所 しょうじゅの里相模原 はじめに 高齢化や少子化が進行する中で地域社会の課題が多様化し、さまざまな課題が生じています。こうした 課題の解決には、行政や事業者だけでなく、地域住民一人ひとりが主体的に関わる「地域共生社会」の形 成が求められます。 本報告では、「三方よし」(自分よし、相手よし、世間よし) の理念のもと、地域の社会資源を動員し て、制度の縦割りやサービスの担い手という関係性を超えて、地域のつながりを大切にしながら、住民と 小売店が連携して取り組んだ実践事例を紹介します。 背景 地域で生協(消費生活協同組合)が閉店したことを契機に、高齢者や交通手段を持たない住民の間で 「買い物難民」の問題が深刻化しました。これに対し、地域包括支援センターが中心となり、地域ケア会 議が開催して、解決策を話し合い、地域の社会資源を活用する取り組みが始まりました。 特に高齢者においては、買い物に行けなくなったことが原因でフレイル状態に陥る方が増加し、日常生 活の質の低下が懸念されました。 取り組みのプロセス 1. 課題の共有 地域住民から「買い物ができない」という声が多数寄せられ、問題の可視化が進みました。特に高齢 者の生活機能低下が深刻な課題として浮き彫りになりました。 2. 役割分担と連携 地域包括支援センターがコーディネーターとなり、地域ケア会議を通じて関係者が協力体制を築き、 以下の役割を担いました。 • 住民:ニーズの提示、支援者としての協力 • 小売店:移動販売の実施 3. 移動販売の実施 話し合いを経て、移動野菜販売を具体策として採用し、週 1 回の定期販売を開始しました。当初は 試験運用でしたが、住民の意見をもとに品目や時間帯を調整し、利便性を高めながら運用を継続しまし た。 14

移動販売の様子 成果と課題 成果 • 買い物支援の場の確保:高齢者や交通弱者が買い物を楽しむ機会が提供され、孤立感の軽減にも寄 与しました。 • 地域連携の構築:住民と小売店が協働する仕組みが生まれ、地域資源の有効活用が進展しました。 課題 • 持続可能性:担い手の確保が引き続きの課題です。 • 柔軟な対応:多様化する住民ニーズに合わせた改善が求められます。 まとめ この取り組みは、「三方よし」の理念を基盤に、地域の社会資源を動員し、地域包括支援センターが中 心となって住民が主体的に関わることで、サービスの担い手という関係性を超えて課題解決を進めた事 例です。 今後は、地域の一部で成功した取り組みを全体に広げる仕組みを構築し、地域社会全体が支え合い、豊 かに暮らせる地域共生社会の実現を目指します。 すべての人が幸せに暮らせる未来に向け、協働と改善を重ねながら持続可能な地域づくりに貢献してい きます。 「買い物難民」の地域課題に、地域包括支援センターが中核となって解決に取り組むのは、地域住 民にとって心強いと思います。小売店というプレーヤーも、重要な地域資源なのだと思います。そ ういう観点から、今回の取り組みにはどんなお店が参画し、何を販売し、どんな成果をあげて、今 後この取り組みでどのような役割を担っていくのか、実践報告で伝えて下さるといいなと感じまし た。とても興味があります。 審査員より

生ごみ処理機「キエーロ」の制作販売による環境と福祉の連携 一般社団法人葉山ぷらす 生ごみ処理機「キエーロ」の制作販売による環境と福祉の連携 一般社団法人葉山ぷらす 1 はじめに 生ごみ処理機「キエーロ」を制作販売することを障害者施設(多機能型事業所hanto)で行 ていま す。鎌倉市の場合「キエーロ」を購入した市民に9割の助成を出しています。行政が環境に出してい る助成金が障害者の工賃につながっています。「キエーロ」の制作販売を行うことは障害者の能力に 応じた各種の仕事につながっています。 2 事例や取り組みの紹介 生ごみ処理機「キエーロ」は葉山町の松本信夫さんが考案された製品です。「キエーロ」(高さ約7 0cm、幅約80cm、奥行き約50cm)は、生ごみを土の中に入れて、土の中のバクテリアが生ごみを 食べて二酸化炭素と水に分解するという仕組みです。 そのため、生ごみを入れ続けても、土は増えずに、そのまま使い続けることができ、ランニングコ ストもかからないという特徴があります。これを広めたいと思い、松本さんの指導を受けて「ベラン ダ de キエーロ S」を作り始めました。 生ごみの約80%は水分で、行政は水分の多い物を回収して、それに油をかけて燃やして処理して います。鎌倉市はごみ処理施設の課題もあり、生ごみの減量化には特に注力し、非電動型の生ごみ処 理機には90%の助成を行っています。(参考:逗子市は80%) 2022年3月に障害者の事業所「多機能型事業所hanto」を立ち上げ、障害者の仕事の一つに「ベラン ダ de キエーロ S」の制作販売を取り上げました。 3 考察 「キエーロ」を購入した個人は自宅で生ごみ処理ができ、行政は水分の多い物を運ぶ手間が省 け、燃やすための費用も削減できます。「キエーロ」を購入する個人は鎌倉市の場合90%の助成 があるため購入しやすく、行政は処理費用を削減できます。当事業所は行政の環境の助成金が利用 者さんの工賃に結びつくことになっています。 また、この「ベランダ de キエーロ S」を制作販売することは、利用者の能力にあった様々な仕事 を作り出してくれています。 ○材料の運搬 ○材料に防腐剤を塗る ○材料を組み立て製品にする ○製品を運ぶ ○チラシを作る ○チラシをポスティングする 等 利用者さんは、電動ドライバーや金づちなどを楽しんで使い、大きな製品が出来上がるので達成感 もあるようです。 15

4 おわりに 「キエーロ」の制作販売を行うことにより、地域の環境改善に携わることが出来、購入者や行政ともつ ながりが出来てきています。生ごみ処理機による「ゴミニケーション」を推進しています。 スペイン語で te quiero(テ・キエロ)」は「愛している」という意味だそうです。 行政と連携して工賃を上げることは、様々な事業所で取り組んでいますが、市民を巻き込んで環境 保全につながる活動は、特筆すべき取り組みです。今後も、継続していただくことを期待します。 審査員より

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